しあわせ食堂の異世界ご飯６

「包丁は大事な相棒で、コツを覚えればたいていの野菜は切れるようになるんだよ。材料ごとの包丁の使い分けを教えるから、できるようにしよう」
　アリアが注意すると、カミルがしっかり頷いた。
「大丈夫。今、見て覚えた」
「……もう？　すごく頼もしいわね」
　今度は、難しいものや独特な野菜の下処理方法もきちんと教えたほうがいいとアリアは考える。
　日本にはない、この世界ならではの食材……そういったものも、アリアは生まれてからいろいろと研究してきた。
　それらを含め、カミルに伝えていけたらいいなと思う。
「っと、鶏肉と玉ねぎ、それからブロッコリーも切り終わったぞ」
「ありがとう。じゃあ、次の段階に移ります！」
　ブロッコリーだけ、ひと足先にカミルに茹でておいてもらう。
　ボウルに鶏肉を入れて、塩と胡椒で味つけをする。そのままもみ込んで、少しの間置いておく。
「かぼちゃはこのままだと硬いから、下茹でをするの。とはいっても、薄切りだからそんなに時間はかからないかな」
　朝の忙しい時間に、長時間茹でている余裕はない。切り方などで時間短縮ができるのならば、どんどん取り入れていく。