しあわせ食堂の異世界ご飯6
 そんな小麦粉の使い方は初めて見たのだろう。カミルが驚いて、「なんでだ?」と理由を聞いてくる。
「そうだよね、小麦粉を入れることなんてないもんね。この後牛乳を加えるんだけど、小麦粉を入れておくと水っぽくならなくて、とろみのあるソースを作ることができるんだよ」
 だから入れ忘れないように気をつけてねと、小麦粉の大切さを口にする。
 それから、かぼちゃと茹で終えて水けをきったブロッコリーと牛乳を加え、塩で味を調える。火力を弱くして、そのままなじませるようにかき混ぜればホワイトソースのできあがりだ。
「よし、ひとまずこれでオッケー!」
「意外と手間がかからないんだな」
 これなら自分でもすぐ練習して覚えることができそうだと、カミルが嬉しそうにしている。
 アリアもそれには同意見で、カミルには早くひとりで作れるようになってほしい。というか、カミルには教えてあげたい料理がたくさんある。
「あ、でも……フライパンを使うとなると、新メニューにするのは難しいか?」

 しあわせ食堂にあるコンロは三つだけ。
 ひとつは人気メニューのカレー。
 ふたつ目はストロガノフ。
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