しあわせ食堂の異世界ご飯６
「ああ、料理人なら食材が気になるのも納得だね。しかし、親は気が気じゃなさそうだよ……」
　普段は大人しくしている分、ある意味やんちゃ小僧より大変そうだとエマが言う。
（それは否定できない……）
　前世の記憶を持っていたアリアは子供のときから大人びていたし、ある程度のことは理解していた。
　そのため、アリアが知っていることも、大人たちは知らないと思っていることが多かった。
「何事もほどほどにできたらよかったんですけど、料理だけはなかなか……」
　気をつけようと思っていても、新しい食材を見つけるとまず口が開いてしまったと言うほかない。
「これじゃあ、アリアちゃんに子供が生まれたら……その子もとんでもないことをしてくれそうだね」
「いやいや、それはないですよ」
　エマの言葉に、アリアは必死に首を振って否定する。
　自分がこうなのは前世の記憶があったからで、子供はいたって普通だと思いたい。いや、まっとうな子供に育てよう。
　とはいえ、その未来を掴むためにはまだまだやらなければいけないことがたくさんある。
　アリアが考え込みそうになったところで、店内から大きな声が響く。
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表紙・目次

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