しあわせ食堂の異世界ご飯6
 今日の朝、アリアはシャルルとカミルを連れて市場で大量にお菓子の材料を購入した。そしてそれらを使い、もくもくと作り続けて、今にいたる。
「アリアが言ったんです。もっともっとたくさんの料理を作って、多くの人に食べてほしいんだって。だから、今日のことも少し前から計画してたみたいで」
「そうかい。アリアちゃんのおかげで、今じゃこの街でうちの食堂を知らない人はいないだろうからね」
 すごい子だよと、エマは目を細めながらアリアの方を見る。
 おそらく、この街でアリアのことを知らない人なんていないだろう。
 アリアの料理を食べたことがなくとも、噂くらいは耳にしているはずだ。それは、平民や貴族など身分の垣根すら超えている。
「今日の計画を聞いたときは難しいかと思ったけど、楽しそうだねぇ」

 アリアが今回の『ケーキバイキング』の話を持ちかけてきたのは、数日前のことだった。詳細の書かれた紙を見せ、やりたいことを丁寧に説明してくれたのだ。
「午後のお茶の時間に開催する、人数制限ありのケーキ食べ放題かい」
 エマが説明を読むと、アリアは頷く。
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