しあわせ食堂の異世界ご飯6
 心配し、神妙な表情になっているカミルには気づかず、アリアは材料を用意して作り直していく。
 今度はフライパンの卵から目を離さずに、完璧な焼き色の甘い卵焼きを作り上げる。これならお客さんも満足してくれるだろうと、ほっと胸を撫でおろす。
 きちんと集中さえすれば、問題なく料理もすることができる。
(考え事は、後、後……っと)
「ん、いい感じ。持っていっちゃうね」
 横で見てくれていたカミルに謝りつつ、アリアは店内へ出て注文してくれたお客さんへ料理を運ぶ。
「ごめんなさい、お待たせしました! って、門番さん」
「今日は非番だったので、きちゃいました」
「そうだったんですね。ゆっくりしていってくださいね」
 アリアの卵焼きを待っていたのは、王城に勤めている兵士だった。門番をしていることが多く、アリアの事情を知る数少ない人物のひとりだ。
 彼が来店した理由は、アリアの手料理がお目当て……というだけではない。
 実はリベルトの婚約者はリズベットだと発表され、アリアが心配で足を運んでしまったというのだ。
「今日も美味しそうですね」
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