しあわせ食堂の異世界ご飯6
四苦八苦していると、ライナスが苦笑しつつ「失礼します」と手を伸ばしてきた。見かねたようで、取ってくれるらしい。
さすがにこのまま戻るのも憚られるので、ささっとお願いしてしまったほうがよさそうだとアリアも頷いて肯定を示す。
「やはり風が強すぎるのは、よくありませ――」
「アリアに触れるな」
低い声とともに、アリアの髪に触れる寸前だったライナスの腕が掴まれた。
強い風が吹いていたけれど、はっきりとアリアの耳に届く。青い瞳が、まっすぐこちらを見つめてくる。
どくんと、大きく心臓が跳ねた。
「リベルト陛下……」
その名前を呼んだのはアリアが先か、それともライナスと同時だったろうか。リベルトに腕を強く掴まれたライナスは顔をしかめ、強く「陛下!」と声をあげた。
「アリア王女はエストレーラからの来賓だ。なにかあれば外交問題になることぐらい、わかるだろう? 公爵」
リベルトは掴んでいたライナスの腕を振り払うように離し、睨みつける。その瞳には、アリアに触れるなとはっきり書かれているかのようだ。
「王女は私が部屋まで送っていくので、ライナスも下がれ」
さすがにこのまま戻るのも憚られるので、ささっとお願いしてしまったほうがよさそうだとアリアも頷いて肯定を示す。
「やはり風が強すぎるのは、よくありませ――」
「アリアに触れるな」
低い声とともに、アリアの髪に触れる寸前だったライナスの腕が掴まれた。
強い風が吹いていたけれど、はっきりとアリアの耳に届く。青い瞳が、まっすぐこちらを見つめてくる。
どくんと、大きく心臓が跳ねた。
「リベルト陛下……」
その名前を呼んだのはアリアが先か、それともライナスと同時だったろうか。リベルトに腕を強く掴まれたライナスは顔をしかめ、強く「陛下!」と声をあげた。
「アリア王女はエストレーラからの来賓だ。なにかあれば外交問題になることぐらい、わかるだろう? 公爵」
リベルトは掴んでいたライナスの腕を振り払うように離し、睨みつける。その瞳には、アリアに触れるなとはっきり書かれているかのようだ。
「王女は私が部屋まで送っていくので、ライナスも下がれ」