しあわせ食堂の異世界ご飯6
 そう言おうとしたアリアだったが、つい先ほど自分はこうしてリベルトに連れ去られたばかりだった。
「……私があそこで止めに入ったから、間違いなくなにかあると思われているな」
「そう、ですよね……」
「皇帝の座を狙っているだけあって、ロスタン公爵は有能だ」
 きっとすぐ、答えにたどり着くだろう。
 いや、もしかしたらすでに仮説のひとつとして頭の中でアリアとリベルトが両想いという道筋ができてしまっているかもしれない。
(もしかして、かなりやばい状況になる……?)
 アリアの存在がライナスに知れわたると言うことは、リベルトにとってはあまりプラスに働かないだろう。
 むしろ、弱点になりうる。
 リベルトの本当の想い人がアリアであるのならば、人質にすれば簡単にリベルトを捕まえることができる。
 もしくは、リズベットという婚約者がいるのだから、浮気相手としてでっちあげてしまうことだって可能だろう。
 かといって、アリアではリベルトの後ろ盾としての力はほとんどない。
 祖国のエストレーラは小国で、距離もある。なにか支援することができたらいいのだが、それも難しいだろう。
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