婚約破棄された悪役令嬢は、気ままな人生を謳歌する
エリーゼに促されるがまま、スチュアートはもう一度椅子に横柄に腰を降ろす。エリーゼは満足げに微笑むと、スチュアートの腕に身を寄せた。
「さあ。気を取り直して、パーティーの続きを楽しみましょう」
「もちろんだ」
そうは答えたものの、自分たちに会場内から胡乱な眼差しが向けられるのを、スチュアートは感じ取っていた。
優雅な管弦楽の音に誤魔化されてはいるが、ザワザワ、ヒソヒソ、という人々の心無い囁きは、容赦なくスチュアートの耳に入ってくる。
アンジェリ―ナを“悪魔の塔”に追放し、晴れてエリーゼを傍に置くことが叶ったあの頃は、うかれるあまり周りが見えていなかった。
それどころか、貴族も、平民も、窓の外を行き交う小鳥たちや空に浮かぶ雲でさえ、自分とエリーゼを祝福していると信じて疑わなかった。
それほど、スチュアートは、アンジェリ―ナとは真逆のエリーゼの美しさに夢中だったのだ。
だが、日を追うごとに、スチュアートは周囲から自分がどう見られているかを感じるようになった。
「さあ。気を取り直して、パーティーの続きを楽しみましょう」
「もちろんだ」
そうは答えたものの、自分たちに会場内から胡乱な眼差しが向けられるのを、スチュアートは感じ取っていた。
優雅な管弦楽の音に誤魔化されてはいるが、ザワザワ、ヒソヒソ、という人々の心無い囁きは、容赦なくスチュアートの耳に入ってくる。
アンジェリ―ナを“悪魔の塔”に追放し、晴れてエリーゼを傍に置くことが叶ったあの頃は、うかれるあまり周りが見えていなかった。
それどころか、貴族も、平民も、窓の外を行き交う小鳥たちや空に浮かぶ雲でさえ、自分とエリーゼを祝福していると信じて疑わなかった。
それほど、スチュアートは、アンジェリ―ナとは真逆のエリーゼの美しさに夢中だったのだ。
だが、日を追うごとに、スチュアートは周囲から自分がどう見られているかを感じるようになった。