婚約破棄された悪役令嬢は、気ままな人生を謳歌する
そのためスチュアートは、人に出くわさないよう、サロンを抜け出し広大な王宮内の庭をさ迷っていた。
「くそっ……!」
消沈しかけたと思ったら、またすぐにアンジェリ―ナの面影が脳裏に浮かび、怒りが込み上げる。
想い人はエリーゼだというのに、アンジェリ―ナのことを考える時間の方が圧倒的に多い。そのことがまた、スチュアートをイラつかせた。
どんなに庭園をさ迷い歩いても、怒りはなかなか静まらない。
エリーゼが心配しているだろうから早くサロンに戻らなければとは思うのだが、気持ちが言うことをきかない。
気づけば、庭園の隅にある朽ちかけの礼拝堂に来ていた。
ゴシック様式のその重厚な建造物は、何世代も前に建てられたもので、使わないので取り壊したいところだが、歴史的価値が云々と異論を唱える者がいるためそのまま放置している。
寂れた礼拝堂の物陰から、ふいに人の声がした。
(誰かいるのか?)
スチュアートは、すぐにその場から立ち去ろうとした。今は、誰ひとりとして王宮内の者には出くわしたくない。
だが、ヒソヒソと響く囁き声を耳にした途端、足を止める。知っている声のような気がしたのだ。
「くそっ……!」
消沈しかけたと思ったら、またすぐにアンジェリ―ナの面影が脳裏に浮かび、怒りが込み上げる。
想い人はエリーゼだというのに、アンジェリ―ナのことを考える時間の方が圧倒的に多い。そのことがまた、スチュアートをイラつかせた。
どんなに庭園をさ迷い歩いても、怒りはなかなか静まらない。
エリーゼが心配しているだろうから早くサロンに戻らなければとは思うのだが、気持ちが言うことをきかない。
気づけば、庭園の隅にある朽ちかけの礼拝堂に来ていた。
ゴシック様式のその重厚な建造物は、何世代も前に建てられたもので、使わないので取り壊したいところだが、歴史的価値が云々と異論を唱える者がいるためそのまま放置している。
寂れた礼拝堂の物陰から、ふいに人の声がした。
(誰かいるのか?)
スチュアートは、すぐにその場から立ち去ろうとした。今は、誰ひとりとして王宮内の者には出くわしたくない。
だが、ヒソヒソと響く囁き声を耳にした途端、足を止める。知っている声のような気がしたのだ。