婚約破棄された悪役令嬢は、気ままな人生を謳歌する
 素っ気なくすることで、気にかけて貰えるどころか、彼女の視界から完全にフェードアウトしてしまったようだ。

(このままではいけない、このままでは……)

 そうは思うものの、ビクターにはどうすることもできないでいた。彼女は所詮は手の届かない、この国の王子の婚約者なのだ。

 ところが、そんなビクターの考えを一転させる事態が訪れる。

 スチュアートの二十二歳の誕生日パーティーの場で、あろうことかスチュアートは、アンジェリ―ナに婚約破棄を言い渡したのだ。

 ビクターは歓喜に震えると同時に、猛烈な怒りにとらわれていた。

 スチュアートが、公衆の面前で、アンジェリ―ナを激しく侮辱したからだ。

『お待ちください!』

 気づけば、自分の立場を忘れて叫んでいた。

『アンジェリ―ナ様が、そのようなことをなさるはずがございません!』

 だが、スチュアートにすげなくあしらわれ、強制退室させられることになってしまう。

 結果としてアンジェリ―ナは“悪魔の塔”に幽閉されることになってしまい、ビクターは愕然とした。
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