婚約破棄された悪役令嬢は、気ままな人生を謳歌する
「トーマス!」
厳しい声で呼べば、「は、はい!?」とトーマスが厨房から出てきた。
「この塔の警備はどうなっているの? あんな余所者をやすやすと入れるなど、あり得ないわ。ビクター様が来られた時から、ここの警備は隙だらけだとは思っていたけど」
「は、はい、すみませんですだ。でも、あっしの仕事はアンジェリ―ナ様が逃亡しないように見張ることでして、侵入者を防ぐことではございませんので……。ていうかこの塔に好き好んで来る人間なんて今まで全くいなかったので、初めての事態にあっしも困惑していますだ」
アンジェリ―ナは腕を組むと、縮こまっているトーマスの前にずいっと歩み寄る。
「警備を強化するのよ。これ以上、この塔の敷地内には誰ひとりとして入れないで。王や王子も、もちろん例外ではないわ」
厳しい声で呼べば、「は、はい!?」とトーマスが厨房から出てきた。
「この塔の警備はどうなっているの? あんな余所者をやすやすと入れるなど、あり得ないわ。ビクター様が来られた時から、ここの警備は隙だらけだとは思っていたけど」
「は、はい、すみませんですだ。でも、あっしの仕事はアンジェリ―ナ様が逃亡しないように見張ることでして、侵入者を防ぐことではございませんので……。ていうかこの塔に好き好んで来る人間なんて今まで全くいなかったので、初めての事態にあっしも困惑していますだ」
アンジェリ―ナは腕を組むと、縮こまっているトーマスの前にずいっと歩み寄る。
「警備を強化するのよ。これ以上、この塔の敷地内には誰ひとりとして入れないで。王や王子も、もちろん例外ではないわ」