婚約破棄された悪役令嬢は、気ままな人生を謳歌する
 アンジェリ―ナの『だめ』発言を、婚約破棄に対するものと勘違いしているようだ。スチュアートは、愉悦を孕んだ表情で狼狽するアンジェリ―ナを眺めている。

 アンジェリ―ナは覚悟を決めると、スチュアートと毅然と向き合った。

 何が何でも、“悪魔の城”に幽閉されなくてはならない。

 幽閉されてはじめて、全てがスタートするのだ。

「恐れながら、スチュアート様に申し上げねばならないことがございます」

「なんだ? 詫びの言葉か?」

 スチュアートの瞳が、わくわくとした色を浮かべている。

「私は、ふしだらな女にございます」

「――は?」

「あなたという婚約者がいながら、数々の男性と遊びました。この見た目ですから、男性はいくらでも寄ってくるのです」

 自身の放漫なボディを見せつけるように、しなを作るアンジェリ―ナ。初めてこの身体が役に立った。

「な、なんだと……!」

 途端に真っ赤になり、憤りを露にするスチュアート。
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