婚約破棄された悪役令嬢は、気ままな人生を謳歌する
※
アンジェリ―ナが“悪魔の塔”に来て、およそ一週間が過ぎた。
「できたわ!」
朝起きてすぐ、今日もさっそく地下へと降りたアンジェリ―ナは、満面の笑みを浮かべた。そして、勢いよく一階へと登っていくと、食堂にいたララを捕まえる。
「ララ、地下に来て! 見せたいものがあるの」
「ええっ、イヤですよ! なんか、猛烈に怖いです!」
「いいから」
嫌がるララを無理やり引き摺り、地下へと連れて行く。
暗い室内をランプで照らせば、ララは「ひぃっ」と甲高い声を上げた。
「何ですかコレっ!? きもちわるっ!」
おおよそ二十畳はある地下室の中には、所狭しと透明な瓶が並べられていた。瓶はすべて布で蓋がされており、中には茶色い芋虫のような細長い物体が詰まっている。
アンジェリ―ナは瓶のひとつを手に取ると、怯えるララに突き出した。
「きゃああ! 私、虫って苦手なんです!」
今にも泣きそうなララの背中に「よく見て、虫じゃないわ」とアンジェリ―ナは優しく触れた。
「食べられる植物よ。“もやし”って言うの」
「……もやし?」
アンジェリ―ナが“悪魔の塔”に来て、およそ一週間が過ぎた。
「できたわ!」
朝起きてすぐ、今日もさっそく地下へと降りたアンジェリ―ナは、満面の笑みを浮かべた。そして、勢いよく一階へと登っていくと、食堂にいたララを捕まえる。
「ララ、地下に来て! 見せたいものがあるの」
「ええっ、イヤですよ! なんか、猛烈に怖いです!」
「いいから」
嫌がるララを無理やり引き摺り、地下へと連れて行く。
暗い室内をランプで照らせば、ララは「ひぃっ」と甲高い声を上げた。
「何ですかコレっ!? きもちわるっ!」
おおよそ二十畳はある地下室の中には、所狭しと透明な瓶が並べられていた。瓶はすべて布で蓋がされており、中には茶色い芋虫のような細長い物体が詰まっている。
アンジェリ―ナは瓶のひとつを手に取ると、怯えるララに突き出した。
「きゃああ! 私、虫って苦手なんです!」
今にも泣きそうなララの背中に「よく見て、虫じゃないわ」とアンジェリ―ナは優しく触れた。
「食べられる植物よ。“もやし”って言うの」
「……もやし?」