婚約破棄された悪役令嬢は、気ままな人生を謳歌する

「どうしてって、自分で楽しむために育てたんですもの。人に伝授していたら、時間がかかって他のことを楽しめなくなっちゃうじゃない。まあ、一言で言うと、めんどくさいってところかしら」

　平然と言い放つアンジェリ―ナに、ララは信じられないと言いたげな眼差しを向ける。

「子供たちがお腹を空かせているというのに、よくそんなことが言えますね！」

「悪役令嬢で罪人ですもの。当然よ」

「アンジェリ―ナ様って、そんな性格でしたっけ？　さっきのイケメンポージング発言といい、何だか婚約破棄されてから人が変わられたようです……」

「今までの私の方が、偽りだったの。これが、本来の私よ」

　困惑するララに向け、勝ち誇ったように、アンジェリ―ナがローズレッドの巻き髪を耳にかけしたたかな笑みを浮かべた。

「ところでララ。この間頼んだものは、用意してくれた？」

「ああ、はい。用意しましたけど……。あんなもの、何にするんですか？」

「ふふ。また今度教えるわ」