三月のバスで待ってる
0.『八月の憂鬱』
ずっと夏休みが続けばいいのに。
冷房がほどよく効いたバスの中、窓に頭を預けてぼんやりと景色を眺めながら、そんなことを思った。
そんな夢みたいな世界は存在しない。あと1週間もすれば夏休みは終わる。終わりが迫ってくるたびに私は胸が押し潰されそうに苦しくなる。
ずっと夏休みが続けばいい。そんなあり得ないことを考えて少しでも気を紛らわそうとするけれど、どうしたってその現実からは逃れられない。
前にも、おなじことを思ったことがあった。
あれは夏じゃなくて、春だったけれどーー。
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