三月のバスで待ってる
もしかしたら、連絡がくるんじゃないかと、期待していた。
心配かけてごめん。ちょっと体調が悪くて。明日からはいつも通りーー
優しい想太のことだから、きっとそう言って、また笑いかけてくれる日がくると信じていた。
でも、そのわずかな希望もなくしてしまった。
私が踏み込める問題じゃない。私にできることは何もないない。
そう思っているのに、じっとしていられなかった。
私は最後の頼みに縋るように、メッセージを送った。
『いまどこにいますか?
心配しています。会いたいです』
なにか、なんでもいいから、彼がどこかにいるという実感がほしくて。
このまま2度とあの笑顔が見られないなんて、やっぱり信じられなくて。
ーーねえ。
届いているなら、声を聞かせて。
私の存在は小さなものかもしれないけれど、それでも、無視をしないで。
返事は返ってこなかった。
鳴らない携帯を見つめるだけで、空虚な時間が過ぎていった。