三月のバスで待ってる
「ーーっ」
息が止まるかと思った。
どうして、それを持ってるの。
だって、それはーー
関さんは、さらに信じられないことを言った。
「これは、想太の落とし物だ。だから拾ってきた」
「え……?」
「見覚えはあるかい?」
白い花びらのキーホルダー。
それはーー私が、あの人にあげたものだった。
まさか。
まさか。想太が、あの人だった……?
「想太はいつも言っていたよ。死にたくなるくらい辛かった時、あの子に助けてもらったって。あの子が手を引いてくれたから、このお守りをくれたから、自分は生きて帰ってこれたんだって」
ーーああ。
『ひとりの女の子に助けられたことがある』
『その子がいなかったら、俺はいまここにいなかっだと思う』
ーー想太を助けた女の子は、私だったんだ。
幼い頃の私が、想太を助けていたんだ。