三月のバスで待ってる

「ーーっ」
息が止まるかと思った。
どうして、それを持ってるの。
だって、それはーー
関さんは、さらに信じられないことを言った。
「これは、想太の落とし物だ。だから拾ってきた」
「え……?」
「見覚えはあるかい?」

白い花びらのキーホルダー。
それはーー私が、あの人にあげたものだった。

まさか。

まさか。想太が、あの人だった……?

「想太はいつも言っていたよ。死にたくなるくらい辛かった時、あの子に助けてもらったって。あの子が手を引いてくれたから、このお守りをくれたから、自分は生きて帰ってこれたんだって」

ーーああ。

『ひとりの女の子に助けられたことがある』

『その子がいなかったら、俺はいまここにいなかっだと思う』

ーー想太を助けた女の子は、私だったんだ。

幼い頃の私が、想太を助けていたんだ。
< 140 / 155 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop