三月のバスで待ってる

『君にはもうとっくに大きなものをもらってるから』

『何があっても俺は君の味方でいる』

その言葉の意味が、ようやくわかった。
出会って間もない私のことを、あれほど気にかけてくれたのも。
話を聞いて、いつも元気づけてくれたこと。
私が元気だと、本当に嬉しそうな顔をしてた。

ーーだから、だったんだ。

やっぱり、出まかせの言葉なんかじゃなかった。
本気で私のことを考えてくれていた。
その思いがどうしようもなく温かくて、私はもうあふれる涙を止めることができなかった。
関さんは何も言わずに、静かにそこにいてくれた。

しばらくして、私が落ち着いた頃に、関さんは言った。
私の目をまっすぐに見つめて、思いを託すように。

「これは……このお守りは、君が持っているべきだと思う。そして彼にまた会えたら、渡してやってほしい」
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