三月のバスで待ってる

「深月ーっ」
杏奈が後ろから抱きついてきた。
「今日で深月と離れ離れになるなんて寂しいよおー」
「なに言ってるの。ちゃっかり鈴村くんと一緒の大学合格したくせに」
「まあね。目指せラブラブキャンパスライフ!」
目を輝かせる杏奈に、後からきた悠人が顔をしかめて言う。
「うるせー。大学行ったらちょっとは大人しくしろよ」
「あんたはもうちょっと彼女に優しくしてよ」
全然寂しそうじゃない杏奈に、私は笑った。
「ほんと、ふたり仲良いよね」
「え、どこが?全然足りないんだけど!」

卒業したからといって会えなくなるわけじゃないけれど、この日常がなくなってしまうと思うとやっぱり寂しいな、と思う。

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