三月のバスで待ってる

「でも意外だったよねー。深月が美大なんて」
と杏奈。
私は「だよね」と笑う。
自分でも意外だった。苦手科目はあるけれど勉強は嫌いじゃなかったし、当たり前のように大学に行くものと思っていた。
悩みに悩んで、あれ以来私の相談相手になってくれている関さんに相談してみた。
すると、関さんは当たり前のように笑って答えた。

『好きなものと嫌いじゃないものが目の前にあるなら、僕は迷わず好きなものをとるけどね』

その言葉が、まさにその狭間で迷っていた私の心を動かした。単純だけど、その考え方は、すごくいまの自分にしっくりきたのだ。

「そうか?俺は最初から櫻井さん才能あると思ってたよ」
「だからなんであんたが偉そうなのよ!」
「いてえ!」

みんなで写真を撮って、またねと手を振って、私は学校を後にした。
< 149 / 155 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop