三月のバスで待ってる
会いたかった。
ずっと待ってた。
何してましたか。
元気でしたか。
言いたいこと、伝えたいこと、訊きたいことが、たくさんあった。
でも、何よりも彼が無事で、ここに立っていてくれることが嬉しくて。
何よりも先に、あの手紙の返事をくれた気持ちが嬉しくて。
私は声を詰まらせながら、
「私も、大好きです」
そう答えた。
口にすると急に恥ずかしくなって、私は「あっ、そうだ」と鞄の中から櫻の花びらのキーホルダーを取り出した。
「これ、関さんから預かってた落とし物です」
そう言って差し出すと、想太は目を見開いた。
「これ、なくしたと思ってた……深月ちゃんが持ってたのか」
はい、と私は頷いた。
「いつでも渡せるように、毎日持ち歩いてました」
「2回目だな。また元気もらえた。ありがとう」
想太は少し恥ずかしそうにしながら受け取った。
「それから、これは私の」
私は制服の中から、胸にかけたペンダントを取り出した。
1年前のあの日ーーあの場所から持ち帰った花びら。
いつでも身につけていられるように、帰ってからレジンで固めてペンダントにしたのだ。
「へえ、かわいいね。こんな風にもなるんだ」
「最近、お母さんに教えてもらってハンドメイドにもハマってるんです」
おそろいなんて恥ずかしいかなと思ったけれど、
「おそろいかあ。いいね、めちゃくちゃ嬉しい」
そんな心配する必要まったくなくて、思わず笑ってしまった。