三月のバスで待ってる

学校に行くと、私がいじめを苦に自殺未遂をしたという噂が広まっていた。

いじめはなくなったけれど、誰もが私を幽霊でも見るような目で見た。

いままで生徒にまったく関心を払わなかった担任は、極端なほど「大丈夫か」「悩みはないか」と訊いてきた。

どうしてもっと早く訊いてくれなかったのかと腹が立った。

いままで見て見ぬふりだったくせに、自分の立場が危うくなった途端に干渉しだす大人たちに嫌気が差した。


あの時、死んでしまえたらよかった。助からなければよかった。そうすれば、こんな目にさらされることもなかった。嫌なことからすべて逃れられたのに。

何度もそう思った。今度こそ確実な方法で死ぬことも考えたけれど、これ以上家族に迷惑をかけることを思うとできなかった。

それから2年間、私は一人歩きする噂に耐えた。

苦しいけれど、いじめに比べたらまだよかったのかもしれない。
でも、それ以上に苦痛だったのが、家族まで陰口を言われることだった。

黙っていれば、いつかは終わるかもしれない。

でも、いつかっていつ?

いつまで耐え続ければいいの?

私たち家族は、もう限界まで来ていたのだ。




< 75 / 155 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop