ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来


私は悲鳴にも似た声を上げてしまった。


「声、デカイって。」

私とは対照的に囁き声で私に訴えかけるその人。


「どうかしました?高梨さん!」

私の声を聞きつけたのか、慌てた様子で駆けつけてくれたさっきのベテラン看護師さん。



看護師さんには怒られるかもしれないけれど
私は自分がカワイイです
だから、こんな人に
こんな横柄な態度のこんな医者に
自分の怪我した手を診てもらいたくないです!!!!

この人、さっきかかってきた電話に
森村って名乗っていたから

ナオフミさんが院内紹介状を書いてやるっていってた
矢野先生っていう人じゃなさそうだし・・・

それでもこの人に診て貰えっていうのなら
這ってでも、逃げます

だから、

『看護師さん、お願い!!!!矢野先生っていう先生に診て貰いたいんですけど・・・』

私はベンチに腰掛けたまま怪我をした左手までもを使ってその看護師さんの両腕を掴みそう訴えた。

でも、やっぱり左手には力が入らなくて、私の体は左側に大きく傾いていた。


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