ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
私は高ぶる感情の勢いにまかせてそう答えてしまっていた。
「今、やってみてって言ったよな?やってやるよ。しっかりみてろよ、絶対世界一になってやるからッ!」
『ハイハイッ、見てますよ、自称世界一のドクターの活躍ぶりを!絶対世界一じゃないんだからッ!』
「世界一なんだよッ!」
『あり得ないっ!』
「なにい?!」
睨み合う医師と患者。
「森村先生!!!!大人げないですよ!高梨さんも!」
売り言葉に買い言葉。
自分の置かれている立場とか状況とかなんかすっかり忘れて、言い合いを繰り広げている私達に、祐希を抱っこしながらカミナリを落とした看護師さん。
「・・・・・・」
『・・・・・・』
口は開いているものの声すら出ない医師と患者。
さすがベテラン看護師さん
威力抜群です・・・
「ハイ、森村先生は診察室に入る!高梨さんは問診表の続きを記入する!いいですね?忙しいんですから、お早く願います!あっ、ボクはまたここに座っていてね♪わかりましたか?」
そう言いながら抱っこしていてくれた祐希をベビーカーに座らせてくれたベテラン看護師さん。
さすがはベテランで
私達、大人気ない大人には厳しい口調で
大人しくしている子供には優しい語りかけで
その場を完全に仕切ってしまっていた。
「わかりましたッ!」
『ハイ、スミマセン・・』
さっきまで御互いに顎を突き出しながら言い合いをしていたのに
森村という医者は、背中を小さく丸めながら診察室へ向かい
私はというと両肩を竦めながら、手元に戻された問診表に再び目を向けた。
そして問診表を記入をし終えた頃に私は診察室へ入るように呼ばれた。
「高梨さん、ココに座って。」
『ハイ』
さっきまでの勢いの良さはどこへやら
森村という医者も、私もようやく冷静さを取り戻した。
でも、診察室に二人きり。