ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来



そんなことを考えているうちに

「高梨さん、俺さ・・」

伶菜の傍に森村医師が近づいてきた。

すぐ傍にも美咲がいる。



「レイナ、俺・・・」



切なそうに彼女を呼ぶ森村医師の声
それに反応するように顔を赤くした彼女


あの夜、整形外科病棟処置室に彼らが一緒にいたのに
俺は先にそこを退出した
その後の彼らに何があったかは知らないし
考えないようにしていた

まさか、あの後、
彼らの間に何かあったのか?


だから、俺達を森村医師は追いかけてきたのか?

妊婦さん達は許してくれたけれど
森村医師から逃げることはやっぱり無理なのか?


もうこれ以上
伶菜の想いを
彼女がこれからどうしたいのかをしっかりと聴くことは
無理なのか・・・・








「オレ、完敗だよ・・・・あの人に」



伶菜の耳元で囁いた森村医師のその声は
俺にもしっかりと聞こえた。
予想していなかった彼の敗北宣言が。


今の俺の行動をあり得ないと口にしながらも
カッコよかったと誉め言葉
そして
羨ましいという言葉までもが聞こえてくる


俺に嫉妬という感情を植え付けた男から
そんな言葉を聞かされるなんて思ってもみなかった。


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