一粒トリュフに想いを込めて
「真帆ちゃん?どうかした?」

「え?あ、えっと……」

なんとかトイレから出てデスクに戻ってきたものの、胸の動悸は治まりそうもない

「具合悪い?」

「い、いえ。大丈夫です…」

具合は悪くない…
ただ、衝撃的な事実を耳にしただけ

「ほんとに?無理しないでね?」

「はい、ありがとうございます…」


ダメだ…
今は仕事に集中しないと


わかってるのに…

どうしても考えてしまう…


彼女がいても全然不思議じゃない

あの言葉だって本気だなんて思ってない


それに、諦めた恋



だと、思っていたのに……

諦め、られていなかったんだ…


心のどこかでずっと想っていた


完全に消すことなんて出来なくて…

あの言葉がほんとだったら良いなって…

想いが届かなくても
チョコを受け取って貰えたらって…


そんなことを考えていた


ほんとバカだ……

身の程知らずも良いとこだ…


でも、ほんとにバカなのは…

結城さんが彼女に一途だと知って、やっぱり素敵な人だなって思ってしまったこと


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