一粒トリュフに想いを込めて
「どうぞ」
玄関の鍵を開け中へ促す

「おじゃまします」

一応1LDKの間取りで
LDKは特に仕切りもなく広く感じる

コーヒーショップオーナーの知り合いである常連さんの紹介で、少し安くしてもらえた物件


みなみさんをリビングに案内し、コートを掛け、荷物を置き、さっそくキッチンへ向かう


「じゃあ、さっそく作りましょうか」

「はい、よろしくお願いします」

みなみさんは腕まくりをし、やる気満々だ


「じゃあ、まずはチョコを切りましょう」

「え?チョコを?!切るの?!?!」

「湯煎にかけたときに綺麗に溶けるんです」

「そうなんだ〜」

ふたり並んでキッチンに立ち、それぞれの前にはまな板と包丁とチョコレート

まずはわたしが少し切って見せて、みなみさんも真似するようにやっていく


「チョコを刻むのって大変だね…」

「そうですね〜。
でも、ここをしっかり頑張れば、あとが楽ですし、仕上がりがきれいになりますよ」

「そっか、がんばる!!!!」

そう言って、真剣にチョコを見つめる先輩の横顔が、とってもきれいでかわいくて、恋してるんだなーって改めて感じた


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