一粒トリュフに想いを込めて
チョコ作りを始めて4時間後


「出来たぁーーっ!!!!」


みなみさんの手元には、ココアパウダーのかかったトリュフチョコが6個入った箱がある


「きれいに出来上がりましたね」

「真帆ちゃんのおかげだよーー」

「みなみさんの想いですよ。
中条さん、きっと喜びますね」

「喜ばなかったら殴ってやるんだから」


なんて言いながらもニコニコと嬉しそう

こんなに喜んでもらえたなら、一緒にチョコ作りをしてほんとによかった


「ねぇ、真帆ちゃんのチョコは誰宛?」

「えっ…?」

「誰かにあげるんでしょ?
真帆ちゃん、真剣に作ってたもん。
あの顔は、恋だと思うんだけどな〜」

「あの……えっと……」

こういう時、なんて言えば良いのかわからない


「言いたくないなら良いんだけどね。
真帆ちゃんの恋がうまくいきますように」

そう言って頭を撫でててくれた


みなみさん……ごめんなさい

彼女のいる人が好きなんです


この恋は、絶対うまくいかないんです


それでもわたしはチョコを作った

トリュフを一粒
専用の小さな箱に詰めた

この数年の想い
諦めきれなかった想い

そのすべてを込めて……



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