一粒トリュフに想いを込めて
「お前なにやってんだよ?」

声の方に視線を向ければ眉間にシワを寄せた結城さんが立っていた


「あれ?結城じゃん。
今日は外回りからの直帰じゃなかった?」

中条さんはニコニコと話し出す


「用事があるから戻ってきた」

「そうなんだ〜。で?契約は?
お前のことだし、うまくいったんだろ?」


中条さんの笑顔とは正反対に、結城さんの表情は険しいまま

わたしが邪魔なんだろう

はやく終わらせて出ていかないと

慌ててコップを洗い流し、そのあたりを雑巾で拭き上げる


「あの、お疲れさまです。
わたしは失礼しますね」

ふたりの横をササッと通り過ぎようとした時


「待って。行かないで」

結城さんに手首をキュッと掴まれた

「え?」

なんでわたしの手首に結城さんの手が…?


「豊川さんのこと誘うな」


えっ……………?


「豊川さんも。こいつ彼女いるから」


ん………?どういうこと?


結城さんは、中条さんの彼女がみなみさんって知ってて…
わたしが知らないと思ってるってことかな



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