一粒トリュフに想いを込めて
「すみませんが、お断りします。
いくら気のない同僚だとしても、バレンタインの日に、わたしとごはんなんて行ったら、彼女さんも嫌がるとおもいますよ」

「え?彼女…?」

「じゃあ、失礼します」

そう言って、この場を去ろうとしたのに…

「待って!!彼女ってなに?
俺、彼女なんていないけど」

「え?」

彼女、いない…?
もしかして別れたとか…?
いや、そんなはずない
今日だってチョコ断ってたじゃない


「俺、彼女いるなんて一言も言ってないよ」

「でも、チョコ断ってるんですよね?
好きな女の子からしか受け取らないって」

「え?あ、知ってたんだ…」

「はい、女性社員が噂してましたから」

今日偶然見たことは黙っていよう

覗き見してたと思われたくないし


「確かに、好きな女の子はいる。
でも彼女はいない。もう4年くらい」

「え?」

「好きな女の子がいるから、その子からのチョコだけが欲しくて断ってたんだ。
でも、豊川さんも知ってるとは思わなかった」


そういう恋愛ごとには疎いって思われてたのかな

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