一粒トリュフに想いを込めて
風が身体の芯まで冷える2月

賑やかな食堂内はあちらこちらからピンクオーラが漂ってくる

それはバレンタインが近いからにほかならない


恋人がいる人、好きな人がいる人
1年に1度のチャンスに賭けているんだ

かくいうわたしも、バレンタインにチョコを作ろうかな〜なんて思っていたけれど…
我社では義務として残っていた義理チョコ制度を数年前に廃止したと聞き断念した

上司に気を遣って購入することも無く
男性社員がお返しに頭を悩ませることも無い

男女共に概ね賛成だったようだけれど…

もしその制度が無ければ、他の上司達と同じ流れで結城さんにもチョコが渡せるかもしれない、なんて浅ましいことを考えていたわたしには衝撃的な事実だった

義理チョコとして渡せないなら、本命チョコとして渡すしか方法はない
そんなこと出来るはずがない
身の程知らずも良いとこだ


これはもう、神様が早く諦めろ、身の程を知れと言ってるんだろうとおもう


もしかしたら、わたしみないな地味な女が好きでいることさえ罪なのかもしれない


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