強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
老舗だけど小さな和食料理屋の娘の私と、世界中でホテルを経営している大企業の息子の真夜。
私たちは幼馴染だけど、時が経てば、だんだんと住む世界が変わってしまう。そう思っていた。
けれど、まさか結婚して夫婦になって、こうしてまた子供の頃に来た水族館に真夜と一緒に来ている。
それはなんだかとても不思議な感覚だった。と、同時に、胸が苦しくなるような切ない気持ちに襲われる。
もしも、真夜がいなくなってしまったら……。
母のときのように、真夜も失ってしまったらどうしよう。
突然、そんな不安に駆られた。
――真夜は、これからも私のそばにいてくれるよね?
水槽の中のクラゲを眺めている真夜の背中に向かって、私は心の中でそっと問い掛ける。