強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
「明?」

ふいに真夜が振り返り、目が合った。

「そんなとこでボーッと突っ立ってどうした」

「ううん、何でもない」

私は笑顔を作ると、大きく頭を振った。そんな私のもとへゆっくりと真夜が近付いてくると、すぐ目の前でぴたりと止まる。

なんだろう? そう思って見上げると、真夜の両手が私の脇腹に伸びてきてそっと触れた。そして、そのままこちょこちょとくすぐられる。

「な、なに!?」

自然と笑いがこみあげてきた。

「くすぐったいからやめてよ」

身体を捻りながら何とか逃れようとするけれど、しつこい真夜は私の脇腹をこちょこちょとくすぐり続けている。

クラゲコーナーには私の笑い声が響いているけれど、幸いにも今ここには私と真夜の二人だけで他の客はいない。

しばらくすると満足したのか、真夜の手がパッと離れた。


「やっと笑った」


そう言って、私の顔を覗き込む。

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