強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
「ありがとう、真夜」

「どういたしまして。つか、忙しくてドイツのお土産買い忘れてさ。その代わりでいい?」

「えっ。ああ……」

ドイツにいる真夜から電話が掛かってきたとき、お土産は何がいいか尋ねられたことを思い出す。特に欲しいものはなかったから、お土産を買い忘れたことはそれほど気にしていない。


『あっ、そうだ。お土産なにがいい?』


そういえば、七年前に真夜がバリへ行くことが決まったときも同じようなことを聞かれた。

けれど、あのときも今も、私は……。


「お土産なんていらない。真夜が、無事に私のところに帰ってきてくれただけでいいよ」


気が付くと、思ったことを口に出していた。

一気に恥ずかしさが込み上げてくる。

チラッと隣を見ると、真夜も私のことを見ていたようで視線がぶつかった。それを先にそらしたのは真夜の方だった。

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