強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
「真夜。おはよー」
どこからか明の声が聞こえた気がした。
「起きろっ!」
被っていたはずの掛け布団を突然奪い取られたことに驚いて目を開けると、そこには明の姿があった。
「もう! 何回も起こしてるのにぜんぜん起きないんだから」
俺は枕元のスマホに手を伸ばすと、時間を確認する。
「……もうこんな時間か」
大きく欠伸をすると、ベッドから起き上がる。
すでに部屋を出ていこうとしている明のあとを追いかけて俺も廊下に出た。
「今日の朝食なに?」
明と一緒に住むようになってからの俺の朝食は毎日和食と決まっている。特に、納豆はよく出てくる。あまり好きじゃなかったけれど、食べ続けているおかげで大好きになってしまいそうだ。
だから今日もお決まりの納豆ご飯だろうと思って尋ねたら、予想外の答えが返ってきた。
「フレンチトーストだよ」
……は?
「真夜、食べたいって言ってたから」
いや、確かにそうだけど。
納豆ご飯でも別にいいけれど、たまには朝食にフレンチトーストが食べたいとずっとぼやいていた。でも、頑なに拒否され続けてきた。
それなのに、まさか俺のそんな小さな願いが叶う日がくるなんて。