強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
その答えが欲しくて、この日の夜、俺は保科家へと向かった。
リビングの片隅にある仏壇に、いつもよりも長めに手を合わせる。
今日は仕事終わりに保しなで会食があった。それも終わり今の時刻は二十二時。
俺は、久志さんに許可をもらい、店舗の二階にある保科家のリビングへと上がると、潔子さんの仏壇に手を合わせた。
しばらくして目を開けると、仏壇に飾られた一枚の写真が目に入る。
青空を背景に、今にも風で飛ばされそうな白い帽子を手で抑えながら、ふんわりとした柔らかい笑顔を浮かべる女性。明の母親の潔子さんだ。
明は、どちらかというと父親の久志さん似だと思う。卵のように丸いフェイスラインにタレ目なんてそっくりだし、二人は誰が見ても親子だと分かるはず。
でも、明がまとう柔らかな雰囲気は潔子さんによく似ていると思う。