強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
日本へ帰国すると、俺は真っ先に明の実家へと向かい、潔子さんの仏壇に手を合わせた。

明は独り暮らしを始めたらしく不在だったけれど、明の父親の久志さんから俺は衝撃的なことを知らされた。


それは、潔子さんを亡くしたことにショックを受けた明が、その前後数日の記憶を失っているということ。


明は、俺と空港で交わした約束のことも忘れていた。


それに、俺が日本へ帰国したことを知っているはずなのに、連絡も寄越さなければ会いに来ることもなかった。


それなら俺が明に会いに行こうと思った。


でも、思いとどまってしまった。


……俺たちが最後に会ってから、もう三年も経っているんだ。

俺との約束のことを覚えていない明にとって、俺はもう過去の存在になっているのかもしれない。

一番辛かったときにそばにいてあげることができなかったんだ。

必要のない存在だと思われていても仕方がないと思った。

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