強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
「真夜君みたいな優秀な跡継ぎがいるなら、泰造さんも安心して任せられるはずだ」

「そうだといいんですが」

「大丈夫。真夜君ならきっといい経営者になれる。保しなのピンチを救ってくれたみたいに」

久志さんはそう言うと、白い歯を見せて二カッと笑う。

「本当に真夜君には感謝しているんだ。経営難だった保しなのピンチをいち早く聞き付けて、支援を申し出てくれたから、保しなは今も存続できているし、売上も伸ばすことができた。全て真夜君のおかげなんだ。本当にありがとう」

改めてお礼を言われた俺は気まずさを感じてしまった。

久志さんからそっと視線をそらすと、頭を横に振る。

「感謝をするのは俺の方です」


‟保しなの危機を救う代わりに、明と結婚をさせてほしい„


俺はたぶんずるい手を使って明と結婚をしてしまった。

そのことに少しの罪悪感もあるけれど、それ以上の覚悟もある。

この結婚が正しかったのか間違っていたのか、今は分からない。


でも、俺は明との約束を守りたい。


俺が、明のことを幸せにしたい。

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