強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
目の前のチラシに写る優愛さんと目が合う。

千華ちゃんが熱く語るように、優愛さんはとても美人だ。

肩より少し下の位置で切り揃えられた黒髪に、ぱっつんとした前髪。色白の肌に、きりっとした目元。まさにアジアンビューティー。

真夜の隣を歩くのに相応しいのは、きっとこういうパーフェクトな美人で、私じゃない。

真夜の元恋人が優愛さんかもしれないということを、最近はなるべく考えないようにしていたけれど、また気になり始めてしまった。


「……すみません、明さん。私、つい優愛のことを褒め過ぎてしまいました。イヤでしたよね?」

無言でチラシを見つめている私に気が付いたのか、千華ちゃんは表情を曇らせながら申し訳なさそうに呟く。そして、チラシを自分のデスクの引き出しにそっとしまった。

千華ちゃんは悪くない。彼女はただ純粋に優愛さんのことが好きなだけ。

むしろ、私のこのモヤモヤとした感情に巻き込んでしまって、こちらの方が申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

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