強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
それからは、母のお見舞いにも一人で行くようになったし、真夜とも距離を置くようにして自分から連絡をしたり会いに行ったりすることはやめた。

たまに真夜が私の部屋にふらりとやって来ても、なるべく素っ気ない態度をとるようにして距離を取ろうとした。

それでも真夜への想いを完全には断ち切ることができなかった。

そのまま数年が経ち、高校二年生のとき。真夜から、仕事で三年間バリへ行くことを告げられた。

真夜が遠くへ行ってしまう。

そのとき気が付いた。

どんなに真夜のことを諦めようとしても、私はやっぱり真夜のことが好きで、諦めることができないのだ、と。


もう一度、真夜に告白をしたい。


そう思った私は、真夜がバリへ出発する日に空港まで見送りに行くことを決めた。

どんな言葉で返されるか分からないけれど、もう一度、私は真夜に自分の気持ちを伝えたかった。


けれど、その日。私は、真夜の見送りに空港まで行ったのかを覚えていない。


真夜がバリへと出発した三日後に母が亡くなり、そのショックから私はその前後数日の記憶をなくしてしまったから――



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