強引な政略結婚が甘い理由～御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない～

「こら晴斗。しっかりと噛んで、ゆっくりと食べなさい」

キッチンで洗い物をしていた志穂さんが戻ってくると、晴斗君を注意しながらイスに腰を下ろした。予定日があと三週間後に迫っているお腹はパンパンに大きい。

「明ちゃんごめんね。せっかくの休日なのに、晴斗に付き合わせちゃって」

「いえ。晴斗君と遊ぶの楽しいし、私も休日のいい気分転換になっているので大丈夫ですよ」

「そう言ってもらえると助かるわ。私はこんなお腹だし、主人も休日は仕事だから、晴斗をどこにも連れて行ってあげられなくて」

「私でよければいつでも晴斗君と遊ぶので、遠慮せずに声掛けてください」

休日だからといって特に予定はない。家でだらだらと過ごすよりも、晴斗君と外で元気に遊んで健康的に過ごした方がずっといい。

「でも、せっかくの休日なのに。旦那さんと出掛ける予定もあるでしょ」

「いえ、真夜は仕事が忙しくて。最近なかなか休みも合わないんです」

今日も仕事関係の人と約束があって帰りが遅いと言っていた。相変わらず真夜の仕事は大変そうで、忙しいことも帰りが遅いことも特に気にはしてはいなかったけれど……。


「――それって、本当に仕事？」


突然、志穂さんに怪訝な表情で見つめられて、私は固まってしまう。