強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
濡れた地面に尻もちをついてしまったせいで、ズボンがじんわりと冷たくなってくる。

慌てて立ち上がるけれど、転んだときとっさに手をついたせいで手の平を擦りむいてヒリヒリと痛む。


やっぱり雨の日は嫌いだ。

私にとって悪いことばかりが起きてしまうから。


私は、再び傘を持って雨の中を歩き始めた。


けれど、少し進んだ先でふと足を止める。

私の視線の先には、見覚えのある白のスポーツカーが道路脇にハザードをつけてとまっていた。

ここからだとナンバーまでは確認することができないけれど、あの車は真夜の愛車にとてもよく似ている。

すると、運転席のドアが開き、中からスーツ姿の背の高い男性が降りてくるのが見えた。


「……真夜」


私が、彼を見間違えるはずがない。

白のスポーツカーから降りてきたのは、真夜だ。


でも、どうしてこんなところにいるのだろう。

今日は仕事だと言っていたし、そのあとも仕事関係の人と約束があると言っていたけれど。

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