強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
真夜と一緒にいると楽しくて笑うことができる。ホッとする。寂しさを感じない。


私が幼い頃から入院生活を送っていた母と、お店の仕事が忙しかった父。私は、いつも家に独りぼっちだった。

父のお店の常連客のシヅキホテルグループの社長の息子である七つ年上の真夜は、物心ついたときから私のそばにいた。

自宅もわりと近い距離にあったから、真夜はよく私の家にふらっと遊びに来ていた。

『家にいるよりここの方が落ち着くから』

そんなことをよく言っていたけれど、もしかしたら独りぼっちで留守番をしていた私を気にかけてくれていたのかもしれない。と、今になって思う。


いつもさりげなく私のそばにいてくれた。そんな優しい真夜のことを好きにならないほうがおかしい。


私はいつも、真夜と一緒にいることが楽しくて、たくさん笑えて、安心できて、寂しさなんて感じなかった。

真夜を好きでいることがとにかく幸せだった。

諦めようと思った時期もあったけれど、真夜のそばにいられる時間はやっぱり幸せだった。


でも、今は真夜を好きでいることが辛い。


絶対に私に振り向いてはくれない真夜と一緒にいることがむなしく感じる。


もうやめたい。


こんな結婚しなければよかった――


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