強引な政略結婚が甘い理由～御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない～

移動中の車内には、ラジオから流れるゆったりとしたメロディーと、窓ガラスを打ち付ける雨音だけが静かに響いている。

「そういえば、真夜の結婚相手ってあの幼馴染の子なのよね」

優愛が不意にそんなことを尋ねてきた。

「えっと、名前は……明ちゃん、だっけ？」

「覚えたてのか」

「ええ。あなたと付き合っていた頃の会話の中で何度か話題にのぼっていたから」

「そうか……」

優愛の前で明の話をした覚えはあるものの、どんな内容の話をしたのかまでは覚えていない。あまり余計なことを話していなければいいが。


「よかったわね。大好きな幼馴染と結婚ができて」


そのどこか含みのある優愛の言い方が気になって、運転中だがちらっと一瞬だけ彼女に視線を送った。

優愛は、真っ直ぐと前を見つめながら、静かに口を開く。