強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
高校生の明が、同じ学校の制服を着た男子生徒から告白されているところを偶然見てしまった。

明は断っていたけれど、そのとき初めて明が自分以外の男のものになることを想像した。その瞬間、悔しさが込み上げてきた。


大切だから壊れないよう触れずに眺めているだけだった宝物を、よく知らない誰かにあっという間に触れられて盗まれてしまう。……まるでそんな気持ちになった。


明を誰にも取られたくない。


そんな独占欲が芽生えたとき、俺は、もう明のことを妹とは見ていない自分に気が付いた。


好きだと思った。

一人の女性として。


自覚してもしばらくは認めようとしなかった。戸惑っていたのかもしれない。ずっと妹のように思っていた明に、こんな感情を抱いてしまったことに。


その一年後、バリへ行くことになって、空港で明に告白をされた。

拒む理由があのときの俺にはもう何も見つからなかった。


俺も自分の気持ちを明に伝えて、三年後、俺が日本へ戻ったら結婚しようと約束をした。

けれど、明はそのことを忘れてしまった。

それどころか、俺が日本へ帰国したことを知っているはずなのに連絡も寄越さなければ会いに来ることもなかった。

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