強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
「ここじゃだめ! 絶対だめ!」

必死にそう告げると、真夜は自分の唇を塞いでいる私の両手を片手で軽く払いのける。

「じゃあどこでならいいの?」

「えっ」

「どこでなら明を抱いていい?」

熱い視線で見つめられて、私の心臓がドキッと跳ねる。

これからの行為を拒むつもりはない。

初めてだから少しだけこわい気持ちもあるけれど、真夜となら大丈夫。ずっと好きだった相手だから。

ただやっぱりこのまま実家ではいやだ。せめて場所を変えてほしい。

「……私と真夜の家でならいいよ」

恥ずかしくて視線を逸らしながらボソッとそう告げると、真夜は「わかった」と静かに告げた。

「でも、ひとつだけ伝えとく」

「な、なに?」

「このままここで続きをさせてくれるなら、明の実家ってこともあるし一回だけで我慢する。でも、マンションに帰ってからだと、俺もう自分のこと抑えられる自信ないよ。たぶん満足するまで何回もするけど、いいんだな」

「……」

その言葉の意味がすぐに理解できない私は、きょとんとした顔を浮かべて真夜を見つめる。

すると、真夜は優しく微笑み、私の頬にそっとキスを落とした――……




< 166 / 256 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop