強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
「大丈夫ですよ、志穂さん。もしよかったら今から取りに伺ってもいいですか」

『ええ、もちろん。あ、でも晴斗のせいだから私から届けに行くわ』

「いえ、志穂さんは家にいてください。私が行くので」

出産予定日が近い大きなお腹を抱えてここまでくるのはきっと大変だし、大事な身体に何かあったら大変だ。

それに晴斗君の願い通り、今日もまた会いに行ってあげないと。

『本当にごめんなさい、明ちゃん』

「いえ、大丈夫なので気にしないでください。それじゃあこれから伺いますね」

明るくそう答えて、私は電話を切った。

それから後ろにいる真夜を振り返る。

「ごめんね真夜。私これから財布取りに行かないと」

「車で送ってこうか?」

「いいの?」

「いいよ。俺も、明のことが大好きな晴斗君と会ってみたかったし」

それから私たちは出掛ける準備をすませてから、真夜の車で志穂さんのアパートへと向かった。


< 180 / 256 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop