強引な政略結婚が甘い理由～御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない～

「連絡もらうまで、自分の財布がないことに気が付かなかった明が、うっかりしてたのも悪いしな」

すぐ後ろから声がして振り返ると、近くのコインパーキングに車をとめに行っていた真夜が戻ってきていた。

「あら、真夜さんも一緒だったのね」

いつものように私一人で訪ねてきたと思っていた志穂さんが、突然の真夜の登場に目を見開いて驚いている。

そういえば、この二人が顔を会わせるのは今日が初めてかもしれない。

真夜と志穂さんが軽く挨拶を交わしていると、晴斗君が私の服をツンツンと引っ張ってきた。

「ねぇねぇ、このおじちゃん誰？」

その視線は真夜を捉えている。

すると、私の隣にいる真夜の口から「おじちゃんだと……」という不満そうな声がボソッと聞こえた。

それがおもしろくて、ついクスッと笑ったら軽く睨まれてしまった。私は、上がっていた口角を慌てて戻す。

それから晴斗君の質問に答えようとすると、私よりも先に真夜が晴斗君に声を掛けた。