強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
「……明?」

真夜に名前を呼ばれてハッと気が付く。

「どうした。なんか顔色悪いけど」

「えっ……。あ、ううん、大丈夫」

そう言って、笑ってみせたけれど、

「本当に大丈夫?」

ぼんやりとしていた私を心配に思ったのか、真夜が私に近づいて顔を覗き込んでくる。

「もしかして疲れた?」

「えっ、あ、うん。そうかもしれない」

お母さんのことを思い出していた。なんて言ったら、真夜に余計な心配かけてしまいそうなので誤魔化した。

私を見つめる真夜の視線から逃げるように私はすっとベンチから立ち上がる。

公園の時計の針はもうすぐ十六時になろうとしていた。

園内で遊んでいた人の数も少しずつ減り始めていて、今は数えられるくらいしか残っていない。

私たちもそろそろ帰らないと。

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