強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
たぶん晴斗君は、妹ができることに不安を感じていたのかもしれない。

大好きなお母さんを妹に取られてしまう。その寂しさをどう表現したらいいのか分からなくて、ママは僕のことが嫌い、なんて言ってしまったのだろう。

でも、真夜の言葉で四歳の晴斗君なりに気持ちが軽くなったらしい。

「早く家に帰ろうよ! 僕、赤ちゃんのこと守らないといけないから。ママも僕のこと待ってるよ」

不安が消えた晴斗君にもう迷いはなさそうだ。

「明ちゃん。手繋いで帰ろう」

そう言って、私の右手をぎゅっと握ってくる。

「僕ね、妹のことを守ったら、次は明ちゃんのこと守ってあげるからね」

「えっ」

その可愛らしい言葉に胸がきゅんとなる。

じゃあお願いしようかな。そう言おうとすると、左手をぎゅっと強く握られた。


「晴斗君。明なら大丈夫だよ」


振り向くと、私の手を握っているのは真夜の大きな手だった。


「明のことは、俺がこの先もずっと守るから」


その視線は晴斗君に向けられているけれど、言葉は私の胸に強く響いた。


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